労働契約法が平成24年8月に改正され、同月公布されました。

改正の大きなポイントは

  1. 有期労働契約(期間雇用)が5年を超えて反復更新された場合、労働者からの申込により、無期労働契約に自動転換
  2. 最高裁判例の雇い止めの法理を明文化
  3. 有期労働契約の労働条件が、合理的な理由がなく有期契約であることを理由に、無期契約の労働条件との相違禁止

この3点でしょう。

 

今回のブログでは2.の「雇い止めの法理」をクローズアップしてみます。

突然ですが、「雇止め」「解雇」の違いをご存じでしょうか?両方とも同じで、「クビを切る・クビを切られる」ことでしょ!と理解していたら間違いです

「雇止め」とは、労働契約が有期の場合に生じるもので、労働契約期間が満了すると当然に迎える事実のことです。

「解雇」とは、労働契約が有期・無期を問わず、使用者から労働者に対してなされる労働契約終了の一方的意思のことです。

よって、無期の労働契約を締結している場合には「雇止め」のトラブルは生じないし、有期の労働契約の場合でも「解雇」の場合には解雇にまつわるトラブルが生じます。但し、有期契約と言えども、事実上は無期契約と相違がない場合には裁判により「雇止め」を「解雇」とほぼ同視して、労働者の保護を図ってきました。

上記の「雇止め」にまつわる最高裁判例を集結させて、「雇い止めの法理」ができ、それを今回の改正労働契約法に明文化させました。明文化、つまりは改正労働契約法第19条 有期労働契約の更新等です。

引用:(有期労働契約の更新等) 第19条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までに労働者が当該有期労働契約の更新の申込をした場合(中略)、使用者が当該申込を拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込を承諾したものとみなす。

一、当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該機関の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。~

非常に分かりづらい条文なのですが、一定の条件下(雇用の臨時性・常用性や更新回数、一期間の契約期間の長さ、職務内容など)では雇い止めを解雇と同視して、解雇と同様の事由がない限りは雇い止めができず、契約更新を承諾しなければならないことを意味してます。

リーディングケースでは、東芝柳町工場事件・日立メディコ事件・本田技研工業事件があります。

 

総括として…有期労働契約を反復更新して、ほとんど無期の労働契約と変わらずして、雇用を続ける。そして、何か突発的事情が生じた際には期間満了をもって労働契約を終了させる。 おそらく、中小企業よりも大手企業がよく用いてきた手法だ。 反復更新を繰り返し、そして雇い止めすることは、労働者の期待利益を裏切る行為であろう。 しかし、労働力の弾力的使用を考えると経済的には上記の「何か突発的事情が生じた際には期間満了をもって労働契約を終了させる」ことができないと事業再構築に膨大な時間と手間がかかる。今、日本の家電メーカーは事業再構築に苦戦しているが、今回の法改正が更に苦しめる要因にならないことを祈ります。

(YM)