さて、前回は定額残業代制度の危険性を紹介しましたが、今回も同じテーマを取扱います。
今回は労働者目線からの定額残業代制度の危険性を紹介したいと思います。
A社 月給25万円(諸手当込み) *月に残業40時間ほどあり
B社 基本給19万 *月に残業40時間ほどあり
上記、A・Bのような求人情報があったとします。
金額だけで考えるなら、A社の求人情報の方が待遇が良いかのように感じられます。
ですが、A社の場合(諸手当込み)となっています。 つまり、Aは記載されている残業40時間を定額残業代制にしている可能性があります。そうしますと、AもBも待遇はほとんど変わらないことになります。
(B・・・19万÷173時間×1.25×40時間=約55,000円。 19万+55,000=245,000)
AもBも金額的に変わらないのであれば、最初から25万もらえるAの方がいいと考える人もいるでしょう。ですが、手取り(保険料・所得税控除後)で考えるならBの方が高くなります。
なぜなら、最初から25万とした場合、25万に対して社会保険料の報酬決定がなされます。(資格取得時決定)
よって、Aの場合の社会保険料は約34,795円
Bの場合は、約25,400円となります。 (保険料も高い分、社会保険からなされる反対給付も高くなるのでデメリットだらけというわけではありません)
つまり、控除額は9,000円ほどBが安いのです。
あと、もう一点推測されるのが、繁忙期などで残業が50時間になった場合、A社はそのままの定額残業代のみしか支払わない可能性が高いです。定額残業代制度を設けている場合、みなし残業時間を超過した時間に対する割増賃金計算はかなり煩雑ですので、そういったことをしない会社である可能性が高いのです。 ひどいところですと、定額で払えばいくら残業をさせたとしても精算されると考える会社もあります。
このように考えますと、B社のほうが働いた分ちゃんと割増賃金を支払う会社である可能性が高く、未払い残業問題が発生する可能性は低いと考えられます。