25年版労働経済白書で、一家の所得が年300万円を下回る低所得世帯では非正規労働者の世帯主が平成22年時点で約150万人に上ることが発表されました。
2人以上の世帯では300万円以下、単身世帯では200万円以下を「低所得世帯」として、低所得世帯の稼ぎ頭の数を初めて試算したところ、雇用者全体の約3%に当たる149万2千人だったそうです。このうち男性は約57万人、女性は約92万人だそうです。
2人以上世帯の男性非正規労働者(約456万人)でみると、過半数に当たる約262万人が家計の担い手となっています。
白書では一家の“大黒柱”が不安定で低所得な雇用となっている現状をキャリアアップ支援などを通じて、雇用の安定や処遇改善を図っていくことが重要としています。
非正規労働者の多くが雇用期間に定めのある有期契約であることから、白書は無期契約への転換が雇用の安定につながると指摘。企業にとっても、人材の確保、定着につながる効果が期待できると。
さらに、現在の正規、非正規の二極化を解消し、雇用形態にかかわず、労働者の希望に応じた「多様な働き方」ができる社会の実現を提言。多様な働き方は、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現にもつながるとしています。
厚生労働省では既にキャリアアップ助成金などで、有期雇用者を無期雇用や正社員に転換した時の助成金を用意するなど、キャリアアップを推し進める施策を進めています。
しかし、無期契約へ転換するだけで、人材の確保、定着につながるのでしょうか?本人や家族の介護などやむを得ない理由で非正規で働くことを余儀なくされた人はともかく、本人の選択でそうなってしまった人も少なくないのも事実です。
大学新卒で就職した人の3割が3年以内に会社を自己都合で退職しています。そして、その多くが非正規の仕事に就くことになってしまっています。
今、非正規労働者の人のキャリアアップが必要な事はもちろんですが、自己都合での早期退職者を作らないように学生の時からキャリアに対する教育をしていくべきではないでしょうか?
そして、日本は解雇が非常に難しい国です。バブルで痛い目にあった企業は未だに非正規労働者にて何時でも雇用調整できるようにしているのも事実でしょう。
1つの視点からでなく多方面からメスを入れなければならないと思うのですが。