第8次社会保険労務士法改正については過去2度書きましたが、今回の改正の方向がだいたい決まって来たようようです。

当初とは随分と変わって来ましたが、社労士会全国政連のニュースで平成26年度中に改正予定のようです。その内容は

  1. 社労士会労働紛争解決センターにおける紛争目的額の上限引き上げ
  2. 社会保険労務士業務に関する裁判所における出廷陳述権の付与
  3. 一人法人制度の創設等社会保険労務士法人制度の改善

となっています。

1は現在60万円以上の場合は弁護士と共同受任の必要がありますが、これが120万円以上との改正になるようです。

2は社会保険労務士業務(紛争解決手続代理業務を含む。)に関し、裁判所(非訟事件を含む。)において、補佐人として弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述することのできる権限が認められることです。

3は現在2名以上の社労士が共同で法人を設立しないといけませんが、1人で設立可能とすることです。

1は労働局の紛争調整委員会のあっせん、調停は現在でも上限額がないことを考えるとあまり大きな改正とは言えないでしょう。2は社労士が裁判所で活躍できる第一歩にはなるでしょうが、私は簡易裁判所での個別労働紛争に係る民事調停の代理を先に認めてもらいたかったと考えます。8次改正もまだな状態で9次改正に持ち越しとは随分と先の長い話です。

3は業務ではありませんね。この1人法人は正直反対です。法人化することにより複数の開業社労士がいるという顧客の利便性が失われるように思います。1人で法人化できるのであれば個人事務所と何ら変わりがないでしょう。

当初、「労働審判の代理」、「簡易裁判所での代理」からスタートして次は「簡易裁判所での民事調停の代理」そして最後には「補佐人として弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述することのできる権限」とトーンダウンかなり激しいように思います。

弁護士と共に裁判所に出廷し、弁護士から実践を学ぶことからのスタートだと言えば、納得できないわけではないにしろ、行政不服審査法による審査請求の代理、行政型、民間型のADR機関での個別労働紛争に関する代理を受託して、決着がつかず訴訟になればクライエントにここからは(社労士単独では)できないので、弁護士にも依頼してもらいますとなるわけです。

クライエントにとっては社労士と弁護士の二重に委託することになるので費用面とを考えるとクライエント(国民)への寄与と言う観点ではどうも腑に落ちない改正内容ですね。