社会保険労務士の仕事は次のようなものがあります。

  1. 労働社会保険に関する書類等の作成代行
  2. 労働社会保険に関する書類等の提出代行
  3. 個別労働関係紛争の解決手続(あっせん・調停等)の代理
  4. 労務管理や労働社会保険に関する相談等

この中で1~3は独占業務であり社会保険労務士でないとできません。中でも3は特定社会保険労務士のみができる業務になります。(弁護士・認定司法書士はこの業務は可能)

あっせん等とは話し合いにより個別労働紛争を解決することで

  • 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行う あっせん手続の代理
  • 男女雇用機会均等法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 育児介護休業法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせん手続の代理
  • 都道府県社社労士会労働紛争解決センターが行うあっせん手続の代理

などです。この業務に第8次社会保険労務士法改正で

  • 簡易裁判所での訴訟代理権
  • 裁判所における出廷陳述権
  • 労働審判における代理権

を追加したいと全国社会保険労務士会では考えていました。しかし、日弁連の反対もあり

  • 個別労働紛争について簡易裁判所における民事調停の代理ができること
  • 裁判所(非訟事件を含む)において弁護士とともに補佐人として出頭し陳述できること
  • 社労士会労働紛争解決センターにおける60万円枠を撤廃すること

に変更になりました。我々社会保険労務士としてはADRに特化し、司法・行政・民間型のADR代理ができることになります。

しかし、これもまた変更になったようです。公明党山本ひろし議員のブログで見つけました。

http://www.yamamoto-hiroshi.net/archives/2014/02/28/

平成14年2月26日の公明党社会保険労務士議員懇談会での内容では

  • 社労士会労働紛争解決センターにおける枠を120万円にすること
  • 社労士業務に関する裁判所での出廷陳述権の付与
  • 1人で社労士法人を設立できる制度の創設

の要望があり、前進できるよう取り組んでいくと山本議員は書かれています。

改正法成立が何時になるかは定かでないのですが、その内容が随分と変わってきたようにも思えます。

「社労士業務に関する裁判所での出廷陳述権の付与」が目玉のようですが、このままの言葉で条文化されるものなのでしょうか???

どちらにせよ私の「社会保険労務士としては労働紛争に関してはADRに特化し、司法・行政・民間型のADR代理ができるようになれば」という思いは実現しないようです。

社会保険労務士は労災保険給付に関する決定に不服がある場合の審査請求・再審査請求の代理権はあります。しかし、行政訴訟の代理権はありません。「社労士業務に関する裁判所での出廷陳述権の付与」がなされた場合、行政訴訟での出廷陳述ができるようになるのでしょうか?

それにしても第8次改正は何時になる事やら。