ハラスメント問題で、一番知名度が高いのは「セクハラ」で、次に「パワハラ」でしょう。
セクハラは男女雇用機会均等法にも規定されており且つメディアにもよく取り上げられるので、容易に説明し理解できるのですが、一方「パワハラ」はセクハラと違い容易には説明できませんし、理解していただくのも難しいことが多いです。
まずパワハラの定義ですが、画一的な定義がないので大まかに説明しますと・・・
「職権などのパワーを背景として、本来業務の適切な範囲を超えて人格や尊厳を侵害する言動を行い、働く環境を悪化させ、あるいは雇用不安を悪化させること」
「会社などで職権などの権力差を背景にし、本来の業務の範疇を超えて、人格と尊厳を傷つける言動を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与える行為」
などと言えます。(*セクハラの場合は、男女雇用機会均等法に規定されており、セクハラ防止体制が義務付けられています) 上記、定義で注目していただきたいのが「職権」と「本来の業務(の適切な)範囲を超えて」の2点です。
定義から考えられる具体例を挙げますと、
①上司から成績不良な部下に対して、個室で執拗に叱責する
②社長からミスのあった部長に対して、全社員の前で2時間に渡り人格否定も含む叱責をする
などです。
①における職権は上司から部下に対してで、本来の業務(の適切な)範囲を超えては個室で執拗に叱責する、です。
②における職権は社長から部長に対してで、本来の業務(の適切な)範囲を超えては全社員の前で2時間に渡り人格否定も含む叱責をする、です。
一昔前であれば、どこの職場にも見られたような上記事情ですが、最近では訴訟まで発展する労務トラブルの一種の類型になりました。
パワハラで最終的に問題になるのが、 ●うつ病の発症とこれに伴う休職または退職 ●うつ病の発症とこれによる自殺 でしょう。
法的根拠としましては、まず雇い主(会社)には雇用契約上、安全配慮義務が課されており、パワハラを行うもしくはパワハラの存在を黙認していた場合には、上記安全配慮義務に違反しており、ここに債務不履行があり債務不履行による損害賠償責任を負うものとする、といえます。
ときには熱血指導も大事ですが、普段は対等な人間として接していくのが大切でしょう。ミスの多い、成績不良な部下であってもその人も同じ人間であり、顧客でもあるのですから。