今回の社会保険労務士法改正では補佐人制度の創設などが行われました。但し、無条件で改正が成立するのではなく付帯決議が付きました。

付帯決議2

訴訟代理人の 補佐人制度 の創設 については 、個別労働関係紛争に 関 する 知見の 有無 にかかわらず 全ての 社会保険労務士 を 対象 としていることから、 その職務を 充実したものとするため 、社会保険労務士試験 の 内容の 見直しや 対審構造での紛争解決 を前提 とした 研修 などのほか 、利益相反 の観点 から 信頼性 の 高い 能 力を 担保するための 措置 を検討 すること 。 また 、 補佐人としての 業務 が 能力 に 基づき適切 に行 われるよう 指導 を徹底 すること。

ADR(裁判外紛争解決手続)代理に関しては特定社会保険労務士でないとできませんが、訴訟代理人の補佐人は全ての社会保険労務士が可能です。

考えられるのは顧問先で個別労働紛争がおこり、労働者側から労働審判が開始された場合などが考えられます。

労働審判は現状では特定社会保険労務士にも代理権はないので、弁護士に代理人を依頼することになるでしょう。その時に当該顧問先の労務管理に携わってきた社会保険労務士が訴訟代理人の補佐人として出廷し陳述する場合などが考えられます。

そのために社会保険労務士試験の内容の見直しなどをするよう付帯決議されています。

具体的にはどうなるかはわかりませんが、民法、民事訴訟法などの科目が追加さえるのがベストだと私は考えます。

付帯決議5

社会保険労務士法 が 労働者の 権利保護 に極 めて 大 きな 影響 を 与えることに 鑑み 、今後の 政府による法改 正に 当たっては 、 公労使 の代表を 委員とする 労働政策審議会を 経 て、 その 結果を 反映 させること。

付帯決議3に「社会保険労務士 の業務範囲 が大幅に 拡大する」と書かれていますが、この事も受けて付帯決議5はあるのだと考えます。

勿論、無茶な法改正を望む事はないと思われますが、今後の社会保険労務士法の改正には公労使の代表を委員とする労働政策審議会を経て、その結果を反映させるとなっています。

すなわち次の改正はハードルが高くなったことになります。

私見ですが、簡易裁判所での訴訟代理権まで社労士が望む必要はないが、個別労働紛争に係る民事調停の代理までは特定社労士に認めてもらいたいと考えています。そうすれば司法、行政、民間全てのADR代理権ができるからです。

ADRはあくまで話し合いでの解決を理念として、訴訟とは切り離して考えるべきだと考えます。

但し、話し合いで解決できなかった時には訴訟に移行することもあることから、社労士がスムーズに弁護士にバトンタッチできるよう、民事訴訟法を理解しておくことは必要だと思います。

ADR代理を実際に経験している特定社労士がどれだけいるのか疑問でもありますし、新たな権限拡大より今ある権限を十分に発揮しなければいけませんよね。